職場における主任の役割とは

組織における「主任」というのは、なかなか位置づけの難しいポジションと言っていいでしょう。名前のイメージからは「管理職」という印象がありますが、ほとんどの場合、実は管理職ではありません。つまり肩書としては「チームの構成要因の一人」にすぎないのです。では、どんな役割が主任にはあるのか、5つご紹介します。

1.きめこまかいトップダウンとボトムアップ

あらゆる組織の意思疎通は「トップダウン」と「ボトムアップ」によって成り立ちます。
上の立場の人から下の立場の人に仕事の指示をし、下の立場の人から上の立場の人に要望や現状を伝える。それを日常的に繰り返すことで仕事を前に進めていくのが、組織の基本です。

前者は「上位下達」、後者は「下意上達」と表現されますが、どちらも同じだけ大きな比重を持っているといっていいでしょう。
そして、その二つを日常的にきめ細かく行うのが、主任の大切な役割と言うことができます。もちろん、セクションの責任者であり管理者である係長や課長が、もっとも重い責を負っていますから、上意下達、下意上達も責任者が行うべきことであるのは言うまでもありません。

しかし、「トッププレイヤー」である主任のほうが、より実利のある意志疎通を図ることができるのです。プロスポーツにおけるチームリーダーの役割を考えると、理解しやすいはず。個々の選手の要望や現状をコーチや監督に伝える、それが主任の役割なのです。

2.個々のメンバーの仕事に目を配る

個々のメンバーの勤怠管理や仕事の管理は、管理職の務めであり、主任の役割ではありません。
しかし、仕事がチームで行われ、そこに「主任」というポジションが設けられている以上、個々のメンバーそれぞれの仕事に、主任は無関心ではいられません。

仕事そのものの管理はしなくても、個々のメンバーに目を配り、その仕事の状況を把握する必要はあるのです。
主任は仕事のエキスパートなのですから、それぞれのメンバーの仕事について、場合によってはマネジメントスタッフよりも、適切なアドバイスをすることができるでしょう。

また、それを管理者は主任に期待するものなのです。
常に個々のメンバーの仕事に目を配り、随時、具体的な仕事の指導をする。これがすべての主任に求められる、基本的な役割ということができるでしょう。

3.個々のメンバーの相談に乗る

主任の役割の一つに、「よきアドバイザー」ということもあります。
前項と関連してきますが、個々のメンバーのリーダーとして、「もっとも身近な相談窓口」になるというのが、主任に求められていることの一つと言っていいでしょう。

特に新人や経験の浅いメンバー、若いスタッフが、「課長や係長には話しにくい」という相談ごとを気軽に持ちかける「窓口」になることが、主任の役割です。
ですから主任は、仕事のエキスパートとしてだけでなく、人生の先輩としてチームメンバーに慕われなくては務まりません。「頼れるリーダー」であることが、主任の役割であり、求められる資質ということができるでしょう。

チームの責任者ではないけれど、実質的にチームの要に位置する存在と認識すると、わかりやすいはずです。

4.チーム全体の仕事の状況を把握する

これは、マネジメントスタッフの役割とダブりますが、チームやセクション全体の仕事の状況を把握することも、主任の役割の一つです。
というと「管理職でもないのに、なぜそんなことが求められるのか」と思われる方もいるでしょう。たしかにその通り。マネジメントスタッフではないのですから、チームマネジメントをする必要は、本来ありません。

しかし、個々のメンバーの仕事を円滑に進め、チームとしての実績を上げるためには、やはり全体の仕事の進捗状況を把握する必要があります。個々のメンバーの仕事が有機的に関係しながら、結果を残していくのが仕事というものだからです。

ですから、管理職に近い、あるいはそれと同等の全体を俯瞰する眼が、主任にも求められると考えていいでしょう。

5.チーム内の人間関係の調整と、チームの雰囲気づくり

先ほど少し触れたように、プロスポーツチームのチームリーダーをイメージすると、主任の役割が把握しやすいはず。
ですから、リーダーとしてチームの雰囲気づくりをするのも、役割の一つと考えていいでしょう。そのためには、まず、チームやセクション内の人間関係を上手に調整して、より良い関係を構築しなければなりません。

それがチームの雰囲気づくりにつながり、有効なチームプレイが可能になるのです。もちろん、そうしたチームを作り維持する責任者は、課長などの管理職です。しかし、現実にそれを作る立場にあるのは主任と言っていいでしょう。
要するに「その責任はないけれど、そうすべき立場、それを実現できる位置にいるのが主任」ということになります。

現場の真ん中でチームをまとめるのが主任

以上、組織における「主任」の役割について、かんたんにご説明しました。

お分かりのように、主任はかなりあいまいな立場であり、役割も微妙な性格のものが多いと言っていいでしょう。しかし、現場の真ん中にいてチームをまとめていくという立ち位置は、大変魅力的なはず。主任を命じられた方、現在その任にあたっている方は、「本来、責任者ではない」という自覚を持ちつつ、ぜひ主任としての役割を楽しんでください。