オフィスワークに欠かせないビジネスメール。相手の顔の見えないツールだからこそ、文面の端々まで気を配りたいものです。
ここでは、特に失礼があってはならない、部長クラスの人に送るメールの「宛名」の書き方についてご紹介します。
1.社外の人あての場合は、まず先方の社名を書く
お取引先など、自社外の部長クラスの人へメールを送る場合、まず宛先には、先方の属する会社や団体の名称を記します。
くれぐれも、社名は間違えないよう十分確認してください。誤った社名を書くということは、相手先への関心のなさと受け取られ、それだけで第一印象は大きく損なわれます。
また、たとえ個人的に親しい間柄であっても、ビジネスメールはあくまで、企業間のコミュニケーションです。組織名を記すことで、お互い異なる組織にいることを示す、けじめにもなります。
なお、「株式会社」「有限会社」などの法人表記は、あってもなくても良いですが、表記する場合は正式な言葉で書きます。「(株)」「(有)」「(一社)」などと省略するのは失礼にあたります。
2.所属組織・役職に続けて宛名を書く
社内・社外を問わず、部長クラスの人にメールを送る時は、先方が所属する組織・部署名と、役職を必ず書くようにしてください。
所属先の名称を書き、1字あけて、役職付きの名前を書くのが一般的です。
例:△△△部 ○○部長
役職名が長い時は、役職と名前を分けて書くこともあります。その場合は名前に「様」を付けて書きます。
例:△△△部 統括事業部長 ○○様
また、社外の人で以前にメールを送ったことがあり、久しぶりに再度メールを送るようなケースでは、相手の所属部署や役職が、異動などで変更している可能性があります。
相手との関係性にもよりますが、可能であれば、現在の正しい所属を確認した上で宛名を書くと良いでしょう。
3.相手の名前は、間違えず、正しく書く
これは当然のことですが、送る人の名前は、決して間違わず、正しく書いてください。特に社長・重役クラスの人の場合は、何度確認しても、しすぎることはありません。
誰しも自分の氏名は大切にしています。年配の人ならなおさらです。メール冒頭の宛名でそれを誤るのは、第一印象を非常に悪くし、それ以下のメール本文も「いい加減な人の書いたもの」と見られてしまうものなのです。
Eメールは、手書きの手紙などと違い、文字自体は簡単に書けてしまいます。それゆえ、どうしても、1語・1文への慎重さに欠ける傾向があります。書く時と、メール送信前に、手元の名刺などと突き合わせて確認するくらいの慎重さが欲しいものです。
4.「御中」と「様」を一緒に使わない
これは、目上の人に送るメールの宛先の書き方で、最もよくある間違いの一つです。例えば、次の例をご覧ください。
例:△△△株式会社御中 ○○様
ここで、「御中」は組織や団体に、「様」は個人に対する敬称です。
いずれも敬称ですので、1つの宛名には、いずれか1つあれば敬称を示しています。ですが、これを続けて2つ書くのは二重敬語となり、誤りです。(上記の例だと「△△△株式会社 ○○様」で良いです)
部長クラスの人や上司にメールを書く際は、「ていねいに、ていねいに」と思うあまり、つい過剰な敬意を出そうとしてしまうからでしょう。気を付けてください。
5.役職名には「様」を付けない
「○○社長様」「△△部長様」と、役職名のあとに「様」をつける人も少なくありません。また受け取る側も、この表現に見慣れていて、あまり違和感を持たれない人も多いようですが、日本語としてはいずれも誤りです。
「部長」や「社長」といった役職名には、それ自体に敬意が含まれています。したがって、「部長様」とするのは、上記の4.と同じく二重敬語にあたります。「○○部長」または「部長 ○○様」でOKです。「様」がないと、どうにもぶしつけな印象を持たれるかもしれませんが、正しい日本語のルールにのっとってください。
6.社名と、役職以降は行を改める
これは、メール文面の見た目上の問題です。例えば、以下の宛先の表記をご覧ください。
例:△△△△株式会社 □□□□部◎◎事業部長 ○○様
社名から名前までがずらずらと長く、あまり見やすいとは言えません。このように、社名や所属先名が長い場合は、次のように、社名と役職以降との間に改行を入れるとすっきりします。
例:△△△△株式会社
□□□□部◎◎事業部長 ○○様
ちょっとしたことですが、先方が読みやすくするための配慮です。多忙な中、自分のメールを読んでもらうことへの、感謝の気持ちを少し持つだけで、メールの書き方は変わってくるものです。
メールの宛名は最初に見られるところ
メールの宛先は、読み手が最初に読む場所です。対面のコミュニケーションでいえば最初の見た目、身だしなみ、にあたるでしょうか。短くとも、正しいルールにのっとり失礼のない書き方をすることで、相手に与える印象は違ってきます。
もちろん、宛名を正しく書くことは大事ですが、肝心のメール内容がなおざりにならないように、気を付けてくださいね。