「判断力がない…」として悩む人も多いものです。
「正しい判断をしていれば上手く行ったのに、なんであんな風にしてしまったんだろう」と悔やむことも多いでしょうね。
判断力を鍛えるにはどうしたら良いでしょうか。
…ものごとをスパッと決められる「決断力」とはまた違うものですので、混同のないようにしたいものです。
1.小さなことでも「どうしてこれを選ぶのか」と考えるクセをつける
例えば、自動販売機で、いくつか缶コーヒーがあるとします。
ミルクコーヒー、ブラックコーヒー、小さめのデミタスコーヒーなど、色々なものが並んでいることでしょう。
隣には違うメーカーの自動販売機もあります。
誰か人と一緒にいるときには「とりあえずこれ」と「決断」することも大事ですが、1人であり急いでいないときでは、良く考えてみましょう。
カロリーはどれが高いか低いか、ミルク入りコーヒー等からカロリーを取る必要があるのかないのか。
同じ120円を出すなら、どれが最もその時の自分に合いそうか。
何となればスマホを取り出し、どのメーカーが良さそうか調べたって良いでしょう。
あるいはまた「今ではなく、後でスーパーで買えばもっと安いのではないか」とか「そもそも缶コーヒーを買う必要自体がないのではないか」など、違う水準のことも、考えてみましょう。
「せっかくなので2つのメーカーのものを買って、飲み比べてみよう」といった判断だってあり得るはずです。
2.重要なことと、そうでないことで判断の基準を変える
マクシミンルール、マクシマックスルールという二つの考え方があります。
経済学でも使われる言葉です。
マクシミンルールでは「考えられる最悪の結果」を基準としてものを考え判断します。
就職先を決める、引っ越す土地を決めるなど、重要なことがらに使うと有用です。
「夢のある仕事もしたいが、最悪の場合、上手く行かず路頭に迷うかもしれない。
その分野のことは趣味副業レベルにとどめ、さほど面白みはないが安定した仕事を選ぶ」、といった判断が該当します。
マクシマックスルールでは「考えられる最良の結果」を基準としてものを考え判断します。
「1」のコーヒーなど、いわば「些細な事柄」では、最良の結果としては「大変美味しい」ということになります。
最悪の場合は食中毒などですが、日本では非常に確率が低いことですから、主にマクシマックスで考えて良いでしょう。
この使い分けができると、正しい判断ができるようになります。
例えば「プライベートでも仕事でも使うパソコン」を新調する場合、今までとさほど変わらない使い勝手が堅持できることが大事なのか、高性能で楽しいことが大事なのか、微妙なところですね。
どちらのルールで判断するか、良く見極められるようになれば、失敗が減ります。
3.「機会費用」を考えるようにする
判断力がない人は「金額」などハッキリしたものだけにとらわれてしまい、何かをするためにかかる「時間」などを忘れてしまいがちです。
ある行動をすることにより、失われてしまう最大のコストを「機会費用」といいます。
例えば、自転車で15分かかるAというスーパーに行けば、りんごが90円で買えるとします。
歩いて5分、自転車なら1分のBというスーパーではほぼ同じものが110円です。
この場合、単純に考えれば違いは「20円」ですが、自転車で行った場合往復ではAで30分、Bで2分と「28分」もの違いがあります。
その「28分」と「20円」の違いを天秤にかけて考えてみましょう。
りんご1個なら違いは20円です。
2個でも40円です。
しかし10個買うなら200円の違いです。
買ってくるのにかかる時間は1個でも10個でも同じとします。
…さて総合的には、どう思いますか?また、30分自転車に乗ることと、2分自転車に乗ることでは、交通事故に遭うリスクはどれぐらい違うでしょうか。
あるいは自転車に乗ることを「運動」と考えた場合ではどうなるでしょうか。
こういった考え方ができるようになると、おかしな判断が少なくなります。
4.目的と手段を取り違えていないか、つねに考えるクセをつける
例えば、今賃貸住宅にいて、分譲マンションの購入を考えているとします。
目的は「より快適に生活するため」であるとしますね。
しかし実際にマンション購入を検討し始めていくと、多様な物件を目にしていくうちに「これもカッコイイ」「ここもステキだ」などと、魅力に惑わされがちになります。
しかし、どれほど「建物として」洗練された物件でも、隣人とトラブルが起きれば「快適な生活」とは行きませんね。
騒音問題に悩まされるとか、周囲の環境が不便であるなどでも同様です。
「より快適に生活するため」の「手段」としてマンション購入を考えていたのが、いつの間にか「カッコよくてステキな建物に住む」ことが「目的」になってしまっていたりします。
そうして「こんなことなら、もとの賃貸住宅にいれば良かったのに…」と後悔したりします。
目的と手段がすり替わっていないか、要所要所でチェックするようにすると、正しい判断ができるようになります。
5.ものごとの根拠を考えるようにする
ものごとを判断するさい、その「根拠」を考えることは大事です。
言い換えれば論理的に判断します。
例として、地球が自転しているというのは恐らく事実ですが、そう思うとするなら、その根拠は何でしょうか。
自分自身で天体観察をした結果として、そう考えるのでしょうか。
…多くの人の場合は、学校や書物などで得た知識と実際に見える星の景色などが「だいたい整合していると思うため」、地球は自転していると考えているでしょう。
地動説ではなく、天動説が主流であった時代に、あなたは「地球は回っている」とガリレオのように言えたでしょうか?…言えなくても良いでしょう。
「自分は、地球の自転について学校や書物で得た知識と、普段の感覚から、恐らく正しいと判断している(学校や書物、何となく思う感覚が根拠)」と認識することが大事です。
他にも「健康であるのが良い理由とは何なのか」とか「年齢を1年刻みで考える習慣に何の根拠があるのか」など、時々根源的な問いを自分に投げかけてみましょう。
スパッとものごとを決める「決断力」も大事ですが、いい加減な決断ばかりでは自分も周りも困ってしまいますね。
正しい「判断力」を鍛えたいものです。
正しい判断力を鍛えるには、やや理屈っぽく考えるシーンも重要になります。
いつもいつも理屈っぽいのでは印象も悪くなりますし疲れてしまいますが、時々、ものごとを深く考えてみることで、普段から正しい判断ができるようになります。